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映画のこと。

「カルパテ城の謎」
(THE MYSTERIOUS CASTLE IN THE CARPATHIANS )
(1981年チェコ)監督オルドリッチ・リプスキー 

  • ジュール・ベルヌ原作の空想科学奇譚。ナンセンスの捕らえ方がハリウッドとは根本的に違う。はずし方が絶妙なチェコ流のファンタジー。

 

「ストーカー」
(ロシア)監督アンドレイ・タルコフスキー

遠い宇宙の異文明の知恵が隠されているという『ゾーン』へ侵入する3人の男。孤高の小説家と,爆弾をも自作する物理学者と,ストーカーと呼ばれるプロの案内屋。彼等に立ちはだかるのは人智を越えた,想像を絶するトラップの数々であった… と書くと,インディー・ジョーンズばりのアクション映画のようだが,そうならないのがタルコフスキー流。ストーカーは突然草むらで昼寝を始めるし,詩の朗読がえんえんと流れたり,眠りを誘う演出なのかと勘ぐりたくなるが,これで眠くなるようでは「サクリファイス」は見れないし,「鏡」なんて熟睡間違いなしです。

『トゥルーマンショウ』
 トゥルーマンショウの何が面白かったのかを伝えるのは,多少困難なような気がする。
 勿論観て素直に感動しただけの事なのだけど,これをつまらないと云う人の意見も分かるし,全然違った見方をする人もいるだろうなと思えるのだ。
 例えば,あまりにあざとい部分,父との感動の再会のテレビショウ的な演出,作りものの月,あっけなくばれていくカラクリ… すべては意図的な,いうなれば監督から観客への挑発なのだ。「あなたに“『トゥルーマンショウ』にのめり込む観客たち”を笑う資格がありますか?」と云ってんだってば。オープニングで,「作られたドラマには魅力を感じない…」と伏線をはる独白のシーンがやたらアッサリしてたのは,そういう裏があるからだ。
 これは,僕のとても個人的なところに届いた映画だったのかも知れない。
 この映画すべてはクリストファ(=監督)の物語なのだ。ラストでえんえんと映されるカキワリの壁。編集室のモニタをのぞいた事のある人ならば(緊急報道を待つ深夜のテレビでもいい),あの虚無感の大きさがわかるハズだ。
 そして,あなたも私も,聖書のかわりにTVガイドを持つ現代の殉教者なのだから…

「ショーシャンクの空に」

 スティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」を読んだ。
 長篇というほど長くなく,短編と呼ぶには,ちと長過ぎるくらいの作品。「ゴールデンボーイ」という文庫本に納められている。映画「ショーシャンクの空に」の原作なのですねコレは。
 で「刑務所のリタ・ヘイワース」を読み終えてすぐ,うちの真向かいのレンタルアコム(…あるんですよ。返却も楽で重宝してます)で「ショーシャンクの空に」を借りて見ました。こないだは「ホテル・ニューハンプシャー」で「ショーシャンク」。ちょいと前の映画がマイブーム化しつつあります。
 「ショーシャンクの空に」は1994年の作品。主演はティム・ロビンス。ビデオには「未来は今」の…,とあるけど,「ジェイコブス・ラダー」など,ちょっとインテリっぽい反面幼なさの抜けない…的な役が多い長身の俳優さん。実際知性派なんだろうけど,私は童顔であまりそうには見えないと思ってしまうのだが。
 143分。以外と長い2時間23分を一気に観ました。
 感想としては,原作の方が好きでした。映画と小説では,表現手段が根本的に違うのだろうけど,映画的表現,それもシナリオレベルでのアザトサが見えてしまう点が残念。もしかして先に小説を読まなけリゃ感じなかったのかも知れないけど,きれい過ぎる点がいただけなかったです。色んな面で。
 ちょうど「レインマン」もそうだった。そん時も私としては珍しく小説(アレはノベライズだったのかな?)を先に読んでから映画を見たんだった。施設の人々やダスティン・ホフマンが健常者にしか見えなかった。トム・クルーズが施設で最初に目にする男だけが,それに見えた(きっとホンモノだったのだろう)。ショーシャンクの囚人たちもとうてい犯罪者には見えないのだ。主人公の相方となる初老の男(小説では語り役,映画でもそうなのだが)にいたっては「セブン」の老刑事役と同じ役まわりだ。ネームバリュー無視でキャスティングしろなどと云えないけど,でも,ベストの配役だったのだろうか? …だったのでしょうね,クライマックスの長台詞を決めるには。学のない囚人のはずが,奇蹟を目の当たりにして聖人のようになってしまうのですね。そう,映画は2時間というタイムリミットの中でコレという結論を出さなくてはならないのです。長いようで総てを語り切るには短か過ぎる2時間のあいだで。
 文学の場合,語らないことも表現となる(結論が出ない事が結論になるでもよい)のに,何故映画はどうしても結論を語らねばならないのか(何故映画の観客は結局なんだったの?と問うのか)? 勿論そうじゃない映画も在るだろう。でも大概のハリウッド映画が結末を語ってしまっている。「ブレード・ランナー」は仕方なかったとして,「ターミネーター2」など失笑ものではなかったか。
 アンディー・デュフレーン釈放の鍵を握る若い囚人が所長の陰謀で銃殺されてしまうプロットは映画的盛り上がりのためにリアリティを殺してしまったなぁと感じた。いかにも映画的解決法なのだ。派手でスリリングで時間がかからない。
 あと,もうひとつ。私にはティム・ロビンスがこつこつと石英などを彫っている様子がどうしても想像できませんでした。ダスティン・ホフマンやケヴィン・コスナーなら似合う気がするけど。だいたい穴掘って潜るんなら,小柄な人の方がリアリティ出たんじゃなかろうか。

at 07:07, さばかん, 感想

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